2つの“風”が巻き起こす、りゅうこつ座エータ星の変化

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連星それぞれからの恒星風が周囲を包む星雲を作り出すりゅうこつ座η(エ-タ)星。2つの星の最接近で起こる現象の詳細が明らかにされた。

【2015年1月8日 NASA

7500光年彼方のりゅうこつ座η(エータ、イータ)星は、それぞれ太陽の30倍と90倍の質量を持つ2つの星がお互いを回る連星系だ。19世紀半ばに突如明るくなり、星から放出されたガスが独特の形状で連星を包む「人形星雲」となって現在に至るまで観測されている。

りゅうこつ座η星の周囲に広がる人形星雲
りゅうこつ座η星の周囲に広がる人形星雲(提供:NASA, ESA, and the Hubble SM4 ERO Team)

2つの星は5年半ごとに太陽~火星と同等の距離(2.3億km)まで最接近するが、その前後にX線フレアや構造の変化などが見られる。

NASAのThomas Maduraさんらは、5年半ごとの星同士の最接近を観測してシミュレーションモデルを作り、次回の観測でさらに修正するという研究を行ってきた。過去10年あまりで3回の最接近の観測をもとに作られてきたモデルでシミュレーションすると、伴星が主星の近くでスイングする時に伴星の高速で希薄な風が、主星からの低速で濃い風の中に空洞を作るようすが再現されている。シミュレーションによる立体モデルからは、この空洞領域の境界がでこぼこした形状であることも初めて示された。

2つの星が最接近する時の恒星風の相互作用をシミュレーション
2つの星が最接近する時の恒星風の相互作用をシミュレーション(提供:NASA's Goddard Space Flight Center/T. Madura)

また、主星からの風に含まれる鉄が伴星からの紫外線で青く光り、その光が最接近時には複雑な作用で変化を見せるようすなど、内部で起こるさまざまな現象が明らかになっている。