ダーク/フラット補正を行う際、「画像サイズがアクティブ画像と異なります」エラーが表示される
質問
以下のいずれかの操作でダーク補正またはフラット補正を行おうとする際、「指定したファイルの画像サイズがアクティブ画像と異なります」エラーが表示される。
- RAWファイルを読み込む際に、「読み込み設定」ダイアログで「ダーク補正」「フラット補正」にチェックして「OK」を押す
- RAWファイルを開いた後、「画像」メニュー→「ダーク/フラット補正」ダイアログで「ダーク補正」「フラット補正」を指定して「OK」を押す
回答(概要)
天体画像とダーク/フラット画像の読み込み設定を揃える必要があります。読み込み方法ごとに異なるサイズで出力されるため、このようなエラーが表示されます。
また、正しい処理結果を得るためには必ず「ベイヤー配列」で読み込んだ状態で行ってください。ダーク/フラット画像をコンポジットする前に、各画像を「ベイヤー配列」設定で読み込みます。
回答(詳細):ダーク/フラット補正を「ベイヤー配列」の状態で行う理由
RAW 現像設定を「調整:自動」や「調整:手動」で読み込んだ場合、画像は読み込み時にカラー化されますが、R、G、Bの画素はもともと飛び飛びにしか存在していないので、目的の色の画素がない位置については、近くに存在する画素の明るさを「補間」してデータを作ります。つまり、「調整:自動」や「調整:手動」のカラー画像は、全ての画素が本物の受光データではなく、ところどころ人工的に補間して作ったデータが混ざっています。
したがって、このような画像でダーク/フラット補正を行うと、ダークノイズの減算やフラットフレームの除算をピクセルごとに正確に行えません。
このような理由で、ダーク/フラット補正は必ず「ベイヤー配列」の状態でしなければならない、とされています。
ただしこれは、「正しい結果を得るにはベイヤー配列で処理しなければならない」という意味ですので、ステライメージの仕様として、ベイヤー配列以外の画像でのダーク/フラット補正操作が制限されている、といったことはありません。
回答(詳細):読み込み設定による画像サイズの違いとその理由
例として、ニコン D5500 のNEFファイルをステライメージで開くと、読み込み設定ごとのサイズは下記のようになります。
- カメラの仕様上の記録画素数
- → 6000 x 4000
- (A)RAW現像(調整:自動)
- → 6000 x 4000
- (B)RAW現像(調整:手動)
- → 6010 x 4010
- (C) ベイヤー配列
- → 6016 x 4016
- (C') (C) をカラー化
- → 6010 x 4010
- (D) 「画像ファイルを開く」ダイアログに表示される情報
- → 6016 x 4016
(A) はカメラメーカー提供のライブラリがRAWをカラー化して出力するため、公称値通りになり、JPEG と同じ解像度で出力されます。
(B)(C)(D) はステライメージ独自のルーチンでRAWを解析して出力するため、(A) よりも少し大きな解像度で出力されます。少し大きくなる理由は、RAW に記録されている「生のピクセルデータ」にはカメラメーカーの公称解像度の*外側*にも絵が写っている領域が少しあるため、ステライメージ独自の処理では絵が写っている部分をなるべく捨てずに全部使おうという方針でこういう出力をしているためです。
また、(C') は (B) と同じ内部処理で (C) をカラー化しているだけですので (B) と同じ解像度になります。(C)(D) よりも (B)(C') のカラー画像が縦横 6 ピクセル小さいのは、「ベイヤー・RGB 変換(これもステライメージの独自処理)」でベイヤー画像をカラー化する際に四辺の 3 ピクセル幅の部分をカラー化することが原理的に不可能なため、カットしているものです。
以上のような事情がありますので、同じカメラのRAW画像であっても読み込み設定によってサイズが異なります。