2005年夏の星空三昧
天体望遠鏡で惑星を楽しもう
惑星を天体望遠鏡で見る
惑星や月を望遠鏡で見るとどのようにみえるのでしょうか?惑星の見え方を大きく左右する要素がいくつかありますのでまとめておきましょう。
- 惑星の見え方は望遠鏡のレンズの大きさによって変わります。小さなレンズの望遠鏡よりは大きなレンズの望遠鏡のほうがよく見えます。これは、接近した2つの点を見分ける力が、大きなレンズのほうが優れているからです。
- 地上から惑星を見るばあい、空気を通してみることになります。空気は目に見えませんから、何の影響もなさそうに思えますが、望遠鏡で拡大した惑星をみると、空気の流れの強い日は惑星のもようがよく見えません。これは、ちょうど川の中の小石の見え方を思い出してみれば理解できます。空気も水も無色透明ですが、水の流れの速いところでは、水中の石がよく見えません。それと同じことが星を見るときにもおきているのです。星は夜空でまたたいていますが、あのまたたきもまた空気の流れのせいなのです。ですから、冬の木枯らしが吹き付ける時期は惑星はよく見えないことが多いのです。た、惑星の高さが低い時は空気の流れの影響を受けやすいものです。ですから、もっとも高くみえる南中の頃のほうがよく見えます。
- 惑星も地球も太陽の周りを回っています。そのため、地球に近づいたり離れたりを繰り返しています。たとえば、金星のばあい、最も地球に近づくときは約4200万kmですが、最も遠ざかると2億km以上も遠くまで離れてしまいます。ですから、なるべく大きく見やすい時期を探して見ることが必要です。火星の場合も同じです。
- 望遠鏡はなるべくしっかりしたものを使いましょう。惑星は想像以上にちいさいので、望遠鏡の倍率を高くしないと観察できません(めやすは、レンズの大きさをセンチメートル単位であらわした数字に10〜15をかけたくらいの倍率)。10cmのレンズをもつ望遠鏡のばあいでは、100倍〜150倍くらいでのぞくわけですから、望遠鏡を覗いたときのゆれの大きさも100倍に拡大されたように感じます。しっかりした架台や三脚が必要であることはすぐに理解できるでしょう。
さて、こうした条件をみごとにクリアして望遠鏡を惑星に向けたばあい、どのように見えるのでしょう。この夏に見やすい3つの惑星について、簡単に解説しておきましょう。
金星 夕方の西の空
宵の明星・金星は夕方の西の空でギラギラとした光を放っています。
望遠鏡を向けたらさぞや美しい模様が…と思っている方もいるかもしれませんが、金星は厚い大気におおわれた惑星ですからその地表を見ることはできません。NASAの発表している金星地図はレーダーを使って、厚い雲の層を通して観測したものなのです。とはいえ、やはりギラギラと輝く姿は美しいのでぜひ望遠鏡を向けてみてください。金星の満ち欠けするようすは、レンズの大きさが5cm以上の望遠鏡なら観察できます。
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木星 夕方の西南西の空
惑星の王者・木星はその名の通りもっとも観察しやすい惑星です。木星の表面には赤道に平行ないくつもの縞もようがありますが、5cmの望遠鏡なら、1〜2本の太い縞がわかります。8cm〜10cmの望遠鏡では、縞模様に濃淡があることや、凸凹している部分があること、条件の良い時にはさらに2本ほど細い縞もようが見えるでしょう。15cm以上の望遠鏡なら素晴らしいもようを楽しめます。
また、木星のまわりを回る明るい四つの衛星をガリレオ衛星といいますが、これらは小口径の望遠鏡でも十分に見えますし、10倍くらいの双眼鏡でも見ることができます。
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火星 夜中の東の空
赤い惑星・火星は最接近のころにならないと小さな望遠鏡でもようを楽しむことはできません。今年の秋に最接近(10月末)となるころには、極冠と呼ばれる白く輝くもようや大シルチスなどの大きなもようがあることは6cmくらいの望遠鏡で確認できます。しかしもようの形が見やすくなるのは10cmくらいの望遠鏡からですし、個々のもようの詳細が見えるようになるのは15cm、できれば20cm以上の望遠鏡がほしくなります。
なお、最接近のころの火星は、かなりまぶしいうえに、もようが淡いので、できればレンズの大きさをセンチメートル単位であらわした数字に20をかけたくらいの倍率でながめてみましょう。
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惑星をビデオで撮影してみよう
望遠鏡で惑星を見ることに慣れてきたら、惑星の姿をビデオでとらえてはどうでしょう。案ずるより産むが易し、意外と簡単です。
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