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2007年3月19日
部分日食

3月19日の11時から正午頃、北海道と西日本で部分日食が見られます。日本の半分でしか見ることができず、食分(欠け具合)もごく小さなものですが、日本で日食が見られるのは2004年10月14日以来、2年5か月ぶりのことです。

今回の日食は世界的に見ても皆既日食になりません。日本でもっとも食分が大きいのは対馬で0.101(太陽全体の1割程度)ほどです。

(注意)太陽の観察は減光方法などに注意が必要です。観察の際の注意」などを参考に、日食を安全に観察しましょう。

見え方

部分日食の限界線と、各地における最大食分のようす作図:白河天体観測所

部分日食が見られる範囲と、各地における最大食分のときの太陽の形は左の図のとおりです(図をクリックすると拡大します)。

食分は小さく、ほとんどの場所で1時間足らずの間に終わってしまいますが、太陽自体は南の方角、約50度の高さと見やすい位置にあります。

地名食の始め食の最大食の終わり最大食分
稚内 11時33.4分12時03.4分12時33.4分0.087
旭川 11時40.4分12時02.1分12時23.9分0.044
札幌 11時37.2分11時59.7分12時22.2分0.047
青森 11時43.4分11時55.5分12時07.6分0.013
秋田 11時19.9分11時30.1分11時40.2分0.003
鳥取 11時18.1分11時37.1分11時56.1分0.032
広島 11時09.9分11時32.5分11時55.2分0.045
高知 11時21.4分11時32.4分11時43.4分0.010
福岡 11時00.4分11時28.2分11時56.2分0.070
長崎 10時59.0分11時25.8分11時53.0分0.065
宮崎 11時10.5分11時26.2分11時42.1分0.022

観察の際の注意

日面通過を観察するときは、次の点に十分注意してください。

  • 太陽を直接見てはいけません。望遠鏡や双眼鏡を使わずに肉眼で見るだけでも、目に悪影響を及ぼします。
  • 減光用フィルターも正しいものだけを。黒い下敷き、サングラス、カラーフィルムの黒い切れ端は使ってはいけません。目に見える光はほとんど通さなくても、目に有害な赤外線を透過してしまうからです。
    かつて使われていた太陽観察用のサングラスやフィルターにも、赤外線を通してしまったり割れる危険性があるものがあります。とりわけ望遠鏡用の減光フィルターは、こうした理由から現在ほとんど市販されていません。

おすすめの観察方法は次のとおりです。必要な機材はアストロアーツオンラインショップでも取り扱っています。

  • 真っ黒に現像した白黒ネガフィルムを使う。現像後に金属の銀が残るフィルムなら、太陽光を安全に減光することができます。ただし、今回の日食は食分が小さいので肉眼ではわかりにくいかもしれません。
  • 太陽観察専用の双眼鏡・望遠鏡を使用する。投影式なので目を痛める心配がなく、大勢で観察できる組み立て式太陽投影装置「ソーラースコープ」がおすすめです。
  • 望遠鏡の接眼部の後ろに太陽投影板を取り付ける。「太陽投影板」には大勢で見られる、スケッチがとれるといった利点があります。直接太陽を見ないので安全ですが、望遠鏡の口径が大きすぎたり、プラスチックなど熱に弱い素材が使われていると発火のおそれがあります。太陽観測を想定した設計であるか確認した上で、対物レンズの光景は4〜5cm程度まで絞りましょう。また、ファインダーの対物側には必ずキャップをつけてください。
  • 望遠鏡用の金属蒸着シートを使う。望遠鏡の対物レンズの前に取り付けるタイプの「アストロソーラーシート」が販売されています。ただし、取り付ける際にはすき間や穴が空かないように十分注意してください。デジタルカメラや一眼レフカメラで撮影する場合には、「減光用フィルター」があります。