天文ファンにとって、日の出は観測の終了を告げる恨めしいものかもしれません。しかし、1年の始まりを告げる「初日の出」となれば別でしょう。冷え込んだ明け方の空気の中、太陽光の暖かさを実感できる一瞬は、とても気持ちの良いものです。
東京の初日の出は午前6時50分です。元旦から早起きして、2012年への思いを新たにしたり、風景の美しいところへ出かけて初日の出の写真を撮影したりしてみてはいかがでしょうか。
夜明け前の星
初日の出は午前7時前後ですが、できればもう少し早いうちから空を眺めてみましょう。南東の空の高いところには春の大三角が見えています。近くには火星や土星もあり、にぎやかな感じになっています。
低いところまで開けた場所なら、南東の空の低いところで輝く水星や、さそり座の1等星アンタレスも見られます。こちらは観察できたなら新年早々ラッキー、と言えるかもしれませんね。
初日の出
国内の主な場所での初日の出時刻は以下のとおりです(場所の違いなどにより、1分程度の差がある可能性があります)。
場所 | 時刻 |
---|---|
札幌 | 7時06分 |
仙台 | 6時53分 |
新潟 | 6時59分 |
東京 | 6時50分 |
場所 | 時刻 |
---|---|
名古屋 | 7時00分 |
大阪 | 7時05分 |
福岡 | 7時22分 |
那覇 | 7時16分 |
場所 | 時刻 |
---|---|
南鳥島 | 5時27分 |
富士山山頂 | 6時42分 |
犬吠埼 | 6時46分 |
- 日の出とは、太陽の上端が見かけ上地平線(または水平線)に一致した時刻を指します(日の入りも同様です)。
- 地平線近くの太陽は、大気の影響(大気差)で実際よりも浮き上がって見えます。このため、実際にはまだ地平線の下にある太陽が、大気の影響がないと考えた場合と比較して4分ほど早く「日の出」をむかえます。
- 日本でもっとも早く初日の出が見られるのは、日本の東端である「南鳥島」で5時27分です。本州では「富士山山頂」(6時42分)、平地に限れば千葉県の「犬吠埼」(6時46分)になります。なお、日の出のもっとも早い場所は季節によって変わります。
- 一方、日本の西端である「与那国島」の初日の出は7時31分で、日本の東西で実に2時間以上の差があることになります。
- 日の出の時刻は、標高が高いほど早くなります。また当然ながら、日が昇ってくる方向に山やビルがあればそれだけ遅くなります。
アストロアーツの「日の出・日の入り」のページでは、全国各地の日の出時刻を計算することができます。初日の出の時刻を確かめてみましょう。
再現してみよう
天文現象の見られる方向や起きる時刻は、見る場所などによって大きく変わります。なので日の出の瞬間を見たい、写真を撮影するために構図を決めたいなどの場合は、あらかじめ再現しておくと便利です。
手軽に初日の出の時刻や方向を知りたいときには、とくにモバイルツールが便利。ニンテンドーDSの方位センサーやスマートフォンの電子コンパス・GPSと連動して、端末を向けた方向の空を画面に再現します。夜明け前の空で星を探すのも簡単。さらに地平線の下にある天体も表示できるので、暗いうちに太陽がどの方向から昇ってくるのかを簡単に把握できます。また「こよみ」の機能を使えば、どこにいても初日の出の時刻を正確に確かめることができます。
- ニンテンドーDSソフト「星空ナビ」
- ゲーム感覚で星に親しめる、ニンテンドーDSソフト
- iPhone/iPod touchアプリ「iステラ」
iPadユーザの方は大画面の「iステラ HD」をどうぞ - バージョンアップでさらに使いやすくなった人気iPhoneアプリ
(※対応機種は各製品ページでご確認ください) - Android端末用アプリ「スマートステラ」
- Android端末用天文ナビゲーションアプリ
(※対応機種は各製品ページでご確認ください)
天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」は、とくに写真を撮影しようという方におすすめです。
ステラナビゲータは、大気による浮き上がりの影響も含めて太陽の位置を正確に再現できます。さらに、周辺の地形から地平線を計算したり手持ちの機材による撮影範囲を調べたりといった、高度なシミュレーションも可能です。