カノープスは南天の星なので、北限から北ではまったく見ることができません。天球上のカノープスの赤緯は-52°42′(2000年分点)なので、単純計算すれば北限は北緯37°18′(=90° - 52°42′)、福島県いわき市のあたりとなります。
ただし、地平線近くの星の光は大気によって屈折されるので、カノープスが見える位置は実際の位置よりも高くなります。この「大気差」も考慮に入れると、新潟県新潟市から福島県相馬市を結んだ線あたり(北緯37°50′付近)が北限となります。山腹など標高が高いところから見ることによって、さらに北からでも見えた例があるようです。
東京付近では、カノープスの南中高度はおよそ2度です。地平線(水平線)付近は天頂付近に比べて大気による減光の影響が大きいため、カノープスは全天で2番目の恒星とは思えないほど暗くなり、さらに大気越しに見るため夕日と同様に赤く見えます。