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2016年 木星とガリレオ衛星

2016年の前半は木星が見ごろです。マイナス2等級と明るいので町中でも簡単に見つけられ、時おり月と並ぶようすは肉眼でも楽しめます。また、8月下旬には夕空で金星と大接近します。

双眼鏡で観察すると、木星の周りを巡る4つのガリレオ衛星が見えます。日々並び方が変わる様子は見ものです。さらに、天体望遠鏡を使うと、木星表面の縞模様や大赤斑も観察できます。

木星を見つけよう

夜半の明星

木星は、直径が地球の約11倍もある太陽系最大の惑星です。夜空ではとても明るく目立ち、「夜半の明星」とも呼ばれています。

月を別とすれば夜空で一番目立って明るいのが木星なので、見つけるのは難しくないでしょう。建物などに遮られなければ、町明かりがあるようなところでも見つかります。色はやや黄色っぽく見えます。2016年は木星が見やすい時期に火星も明るくなっていますが、火星は赤っぽい色をしているので見分けられるでしょう。また、星座を形作る恒星と比べて、あまりまたたかないことも特徴です。色や明るさ、またたき具合などから、木星かどうかを判断してみてください。

2016年の前半(8月ごろまで)は、木星は「しし座」から「おとめ座」のあたりに位置しています。3月はほぼ一晩中夜空に輝き、深夜に南の空の高いところに上ります。4月から5月は宵に南の空の高いところに上り、未明に沈みます。6月は宵に南西の空、7月以降は夕方から宵に西の空に見えます。

2016年5月15日 21時の星図

2016年5月中旬 21時の空(東京)。月の表示は消してある。クリックで星図拡大(ステラナビゲータで星図作成、以下同)
3月0時4月23時5月21時6月21時7月20時

木星と月などとの接近

2016年の前半(8月ごろまで)に肉眼や双眼鏡で楽しめる、木星と他の天体との接近現象は以下のとおりです。前後の日にも、やや間隔は大きくなりますが並んで見えます。

日付 現象備考
3月22日 月(月齢14)と接近夕方から翌日未明
4月18日 月(月齢11)と接近夕方から翌日未明
5月15日 月(月齢9)と接近夕方から翌日未明
6月11日 月(月齢6)と接近夕方から深夜
7月9日 月(月齢5)と大接近夕方から宵
8月6日 細い月(月齢4)と接近夕方
8月中旬〜下旬 水星と接近夕方、
最接近20日ごろ
8月下旬 金星と大接近夕方、
最接近28日ごろ

星図(8月6日、月と木星が接近)

8月6日の夕方、月と木星が接近。画像クリックで現象ガイドの解説ページ

木星は、8月下旬以降は太陽に近づき見えづらくなります。その後は10月下旬ごろから、明け方の東天に見えるようになります。

モバイルツールでシミュレーション

iOS用の「iステラ」「iステラ HD」やアンドロイド用「スマートステラ」などのモバイルアプリを使うと、木星のある方向、周りの星や星座の名前が簡単にわかります。

他の製品は ›› モバイル製品情報

スマートステラでのシミュレーション

スマートステラの天体検索機能で木星を探して星図の中央に表示。コンパス連動時には実際の空で見える方向までナビゲーションしてくれる

ガリレオ衛星や縞模様を観察しよう

ガリレオ衛星

木星には60個以上の衛星が見つかっています。そのうちイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストは大型の衛星で、双眼鏡や小型望遠鏡でも存在がわかります。1610年にガリレオが発見したことから、この4つはとくにガリレオ衛星とも呼ばれています。

ガリレオ衛星のうち、一番木星に近いイオはわずか2日弱で木星の周りを一回りします。一番外側のカリストも一回りするには約17日ほどしかかかりません。このため、ガリレオ衛星の位置は目まぐるしく変化します。木星の裏に回ったり木星の影に入ったりして、見えなくなっていることもあります。

衛星の動きをシミュレーション動画にしたので、観察の際の参考にしてください(I:イオ/II:エウロパ/III:ガニメデ/IV:カリスト)。図は上が北になっています。天体望遠鏡では像が回転していることが多いので見比べるときには注意しましょう。

他の天文現象の動画やソフトウェアのデモンストレーションも多数公開!
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2016年3月から8月のガリレオ衛星の動き。上が北。衛星は実際よりも大きく描画している

縞模様と大赤斑

天体望遠鏡で木星を見ると、縞模様があるのがわかります。口径5cm程度の小型望遠鏡でも、目立つ2本を確認できるでしょう。

口径が大きくなると、さらに多くの縞模様が見えてきます。気流が安定しているとき(風がないとき)や木星が空の高いところにあるときのほうが条件良く見えるでしょう。

さらに、大赤斑という模様も見えるかもしれません。大赤斑は地球数個分もの大きさがある、巨大な台風のようなものです。木星は約10時間で自転しているので、大赤斑が裏にまわっていることもあります。タイミングを見計らって観察するようにしましょう。

木星の表面の模様

探査機カッシーニが撮影した木星。縞模様や大赤斑(右下の赤い渦巻き)が見える。左下の黒い丸は衛星の影。クリックで拡大(photo: NASA/JPL/University of Arizona)

ステラナビゲータで見え方をシミュレーション

ステラナビゲータ

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、木星の見え方やガリレオ衛星の位置などを正確にシミュレーションできます。観測や撮影に便利です。

ステラナビゲータ活用法はこちら ›› ステラナビゲータで木星をシミュレーション
(2015年の例ですが、2016年にも応用できます)

「ステラナビゲータ」で木星やガリレオ衛星をシミュレーション

天体望遠鏡や双眼鏡の購入はオンラインショップで

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アストロアーツのオンラインショップでは、天体望遠鏡や双眼鏡を多数取り扱っています。縞模様や衛星の動きを、実際に観察してみましょう。ライトやクッションなどの便利グッズや、太陽系のことが詳しくわかる書籍などもあります。

その他の天文現象もチェック! 「アストロガイド 星空年鑑」

「アストロガイド 星空年鑑 2016」

木星以外の見どころもチェックしておきましょう。5月31日には火星が地球に最接近し、8月中旬には毎年恒例のペルセウス座流星群、中秋の名月やスーパームーンなど秋は月も楽しみです。

「アストロガイド 星空年鑑 2016」ではそんな見どころや季節の星座を、書籍とDVD番組で詳しく紹介。さらに付属の天文シミュレーションソフトで、現象の見え方や時刻などを調べることもできます。

「アストロガイド 星空年鑑」で、2016年の天文ライフをさらに楽しみましょう。

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