M20
(いて座の散光星雲:三裂星雲)
解説
いて座にある大きな散光星雲M8(干潟星雲)のすぐ北にあり、三裂星雲(Trifid Nebula)の呼び名で親しまれています。最初にこの名前を使ったのは19世紀の天文学者ジョン・ハーシェルで、明るい散光星雲が暗黒星雲によって3つに引き裂かれたように見えるためこのように呼ばれました。星雲中にある7等級のO7型高温星の放つ光が星雲本体を淡いピンク色に輝かせていますが、すぐ北に青い色をした散光星雲が隣接していて、20cm以上の望遠鏡では見事なコントラストを見せてくれます。このようすはカラー写真でより一層すばらしいものとなります。
見つけ方
M8の3°北で、双眼鏡では同じ視野に入ります。いて座λ星(2.8等)からは25.7m西、2°23′北です。空の良いところではファインダーでもなんとか確認できます。
双眼鏡
7×50の双眼鏡では淡くこじんまりとした感じに見えますが、空の条件が少しでも悪いときにはまったく見えないことがあります。小さくで淡いので、条件が良くても双眼鏡ではさほど美しくないのが残念です。
10cm
60倍程度で、3つの部分に分かれた光の広がりを淡いながらも確認でき、それなりに美しく眺められます。ちょうど星雲の中心付近に2つの星が並んでいるのがわかります。これより小口径でも光害のない良い空なら同様に見え、北側にある青い星雲の部分も観察できます。
20cm
散光星雲を切り裂く暗黒帯の微細な構造が見え、しかも色のコントラストもはっきりしてきて、実にすばらしい眺めとなります。倍率をあげれば、星雲の中心付近の微細な構造が楽しめます。しかし20cmの口径があっても、空の条件が悪いと途端にみすぼらしい姿になってしまう、意外に気むずかしい星雲です。