M80
(さそり座の球状星団)
解説
M80は同じさそり座にある有名な球状星団(M4)のそばにあり、双眼鏡では同一視野内に見えるため貧弱な印象を受けてしまいますが、大口径ならじゅうぶん楽しめる球状星団です。1860年にはこの中に7等級の新星(さそり座T)が出現した記録がありますが、これは球状星団としては珍しいことです。
見つけ方
さそり座α星(アンタレス)とβ星のほぼ中間に位置しています。アンタレス(0.8?1.8等の変光星)からは12.4m西、3°27′北です。ファインダーでもどうにか位置がわかります。
双眼鏡
小さな双眼鏡で観察すると縁がぼやけた恒星状に見えます。視野を南にふるとM4が同一視野に入ってきますが、M4が星雲状に広がって見えるのとは明らかに異なった印象です。7×50の双眼鏡でもあまり見え方は変わりません。空が澄んだところでは、M4の淡いピンク色に対してM80は白っぽく見えます。
10cm
M80は密集度が「II」のかなり密な球状星団です。このため、小口径では倍率を高めても星に分解することが難しく、きれいな丸い星雲状に見えるだけです。
20cm
倍率を150倍程度に上げると周辺が微光星に分解でき、中心部もざらついた感じに見えて球状星団らしい姿を楽しむことができます。密集度の高い球状星団は、シーイングの良いときに観察しないと立体感のあるボール状の姿を見ることができません。それに加えてM80は高度が低いため一層条件が厳しく、難しい対象といえます。
30cm
中心部まで星に分解でき、見事な美しさです。