M83
(うみへび座の銀河:南の回転花火銀河)
解説
うみへび座の尾の近くにあり、小口径でもその渦巻の姿が観察できるたいへんおもしろい銀河です。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真では「南の回転花火銀河」の呼称にふさわしく、いたるところに赤い星形成領域が写っています。活発な星形成は数多くの超新星爆発にもつながっていて、これまでに1923A、1945B、1950B、1957D、1968L、1983Nと6つの超新星が見つかっています。かつては全ての銀河の中で最多の発見数を誇りましたが、現在ではNGC 6946の方が9個と多く、同じメシエ天体でもM61に6個で並ばれています。
見つけ方
近くに明るい星がなく探しにくいでしょう。おおまかにはうみへび座γ星(3.3等)とすぐ南のケンタウルス座θ星(2.1等)の中間付近です。θ星の北西にケンタウルス座k星、g星、i星という4〜5等星で作る三角形があり、この西側の辺を北西に延ばしていくとM83にぶつかります。赤道儀ならば、おとめ座のスピカから一気に導入するほうが簡単です。スピカ(1.0等)からは11.8m東、18°42′南。うみへび座γ星からは18.1m東、6°42′南です。
双眼鏡
南に低いので空の条件が良くないとかなり苦しいのですが、7×50の双眼鏡でも楕円形をした光斑が見られます。
10cm
60倍ほどで楕円形の光斑の中が長軸方向に線状に濃くなっていて、棒渦巻銀河のように見えて驚かされます。100倍でさらに微細な濃淡が見えてきて渦巻がわかるようになります。小口径でこのようにおもしろく見える銀河は珍しいでしょう。6cm程度の口径でも空がひじょうに良ければ、渦の構造が認められます。
20cm
100倍でこの星雲の特徴的な渦巻の構造がはっきりとわかり、とてもおもしろい眺めです。南に低く、透明度が良くないとこれくらいの口径でもはっきり見えないこともあるので、条件が良いときに忘れずに観察しておきたいものです。北の地方で見るにはつらい対象なのが残念です。
30cm
腕の微細な構造が見えてきて実におもしろくなります。