恒星間空間に近づきつつあるボイジャー2号

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1977年8月に打ち上げられた探査機「ボイジャー2号」に搭載されている装置が、太陽系の外からやってくる宇宙線の増加を検出した。もう少しで太陽圏の外に脱出し、恒星間空間へ旅立つとみられる。

【2018年10月11日 NASA JPL

1977年8月に打ち上げられた探査機「ボイジャー2号」は、現在地球から約177億km(太陽から地球までの約120倍)離れたところを飛行している。2007年からボイジャー2号は、太陽起源の物質と磁場に支配されている大きな泡のような構造「太陽圏(ヘリオスフィア)」の最も外側の領域「ヘリオシース」に入り、さらに外側に向かって旅を続けてきた。

今年の8月下旬、探査機に搭載されている2つの装置によって、探査機へ衝突する宇宙線の割合が8月初旬に比べて約5%増加したことが確認された。宇宙線は太陽系の外を起源とする高速の粒子であり、その一部は太陽圏によって遮られている。つまり、その量が増加したということは、ボイジャー2号が太陽圏と恒星間空間の境界である「ヘリオポーズ」に近づいていることを示しているとみられる。

これまでにヘリオポーズを超えて恒星間空間へと達した探査機は1977年9月(2号より後)に打ち上げられた「ボイジャー1号」だけだ。ボイジャー1号は2012年5月に宇宙線の増加を観測し、その約3か月後にヘリオポーズを通過した。

ボイジャー1号と2号の位置
太陽圏に対するボイジャー1号と2号の位置を示したイラスト(提供:NASA/JPL-Caltech)

ボイジャー2号がヘリオポーズを越えれば、人類史上2機目の恒星間空間を飛行する探査機(人工物)になる。とはいえ、探査機に携わる研究チームでは、宇宙線の増加はボイジャー2号が間もなくヘリオポーズを通過することを示す決定的な兆候というわけではないとしている。ヘリオシース内におけるボイジャー2号の現在位置は、ボイジャー1号がヘリオポーズを通過した場所とは異なっている。この位置の違いが、探査機がヘリオポーズを通過するタイミングの違いにつながる可能性があるからだ。

また、ボイジャー1号が通過してからの6年間の間に太陽活動の勢いが変化し、それにより太陽圏の大きさ、ひいてはヘリオポーズの位置も変わっているはずだ。この6年という時間差も、ボイジャー2号がヘリオポーズを通過するタイミングの違いに影響してくる。

「ボイジャー2号の周りの環境が変化しているのは間違いありません。今後数か月間に多くのことがわかってきます。しかし、いつヘリオポーズに到達するかは、まだわかりません。確かなことは『まだ到達していない』ということだけです」(ボイジャー計画サイエンティスト Ed Stoneさん)。

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