滋賀県多賀町で小中学生361人による星空調査
【2019年2月26日 高橋進さん】
文:高橋進さん(湖東理科研究会)
滋賀県多賀町では2011年10月に開催された第23回「星空の街・あおぞらの街」全国大会に合わせて町内での星空調査が行われました。星空調査は環境省による全国星空継続観察で推奨されていた5cm双眼鏡による観察とともに、誰もが参加できる観察として、肉眼による夏の大三角の観察が行われました。
これは夏の大三角付近の4.4等星までの星について星図上で見えた星を黒く塗りつぶしていく方式のもので、全国大会に先立つ2010年の夏休みから始められ、その後も2011年、2014年、2016年の夏休みにも行われました。今回行われた星空調査も肉眼による観察によるもので、資料準備と集計は2010年および2011年は多賀町(町立博物館)が、2014年と2016年は町内にある公開天文台のダイニックアストロパーク天究館が行いました。
今回2018年の調査は多賀町内の有志団体である湖東理科研究会が主催となり、町内の小学4~6年生と中学1~3年生に夏休みの宿題として実施され、361名の生徒の皆さんから合計1076件の観察データをいただきました。
集められたデータから多賀町内の大字ごとの平均限界等級が求められ、これを地図上にプロットすることで、多賀町内においては平野部より山間部のほうがより暗い星まで見える状況が確認できました。
また、これまでに実施された星空調査のうちの2010年・2014年・2016年の調査結果との比較から、以前の調査に比べると平野部と山間部の星の見え方の差が縮まってきていること、すべてのデータを合わせて得られた多賀町全体での平均限界等級は、微妙にではあるがこの8年間でより暗い星まで見えるようになっている可能性が高いことなどが明らかにされました。
ただし今回得られた結果は、はっきりと断定できるほどとは言えません。今後も引き続き調査を行っていく必要が強く感じられました。次回は2020年の夏に行う予定です。なお、今回の星空調査では平和堂財団・多賀町教育委員会よりご協力をいただきました。深く感謝申し上げます。
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