滋賀県多賀町「小中学生による星空調査」第9回レポート
【2024年12月5日 高橋進さん】
多賀町星空調査は、滋賀県犬上郡多賀町での各地区ごとの星の見え方を調べる調査です。2011年に開催された第23回「星空の街・あおぞらの街」全国大会に合わせて、その前年の2010年夏に1回目の星空調査を行いました。それ以降、おおよそ2年に1度行われていて、今年2024年は9回目(*注)の実施となりました 。
調査の方法は夏の大三角のあたりの星を観察し、肉眼で見えた星を黒く塗りつぶしていくというものです。2010年と2011年に行われた3回の調査(うち1回は12月にオリオン座のあたりの星で実施)は多賀町内の小学4~6年生が参加しました。2014年からは中学1~3年生も加わっています。
2024年の星空調査は夏休み中の7月20日から8月28日の40日間で行われ、336人の児童・生徒の皆さんから914件のデータが寄せられました。寄せられたデータから天候の影響などで不正確なデータを除いた631件のデータを採用し、多賀町内の地区別平均限界等級の地図「多賀町星空マップ2024」を作成しました。
作成された星空マップから、町の西部では彦根の光害などにより暗い星が見づらい様子が明らかにされました。一方、東部は彦根の光害の影響は少ないのですが、谷状の地形の集落の中で街灯の影響により暗い星が見づらいことも感じられます。
詳細なデータがある2014年以降の6回の調査結果を比較すると、年ごとに暗い星が見えるようになってきている傾向がうかがえます。ただし、長年天体観測をされている方たちからは、30年前に比べると最近は暗い星が見えなくなってきているとの指摘もあります。その意味では、暗い星が見えるようになっているというのはこの10年間の短期間についての話なのかもしれません。
また、グラフでは2020年は暗い星が見えていないようになっています。この年は新型コロナウイルス感染症のため観察期間が8月1日から19日までと短く、観測者数・データ数も少なかったことや、例年であれば小学4年時に行われる夏の大三角についての学習がこの年はできなかったことなどが理由かもしれません。
多賀町立博物館では12月28日(土)まで企画展「多賀町星空調査展」を開催中です。ぜひ足をお運びください。
注: 前回実施の2022年は「第7回」としていましたが、これは2010年冬の実施回を入れていなかったためです。今回のレポート作成ならびに企画展開催にあたり、冬の回もカウントに含めました。
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