すばる望遠鏡の星空ライブカメラ、さいだん座流星群を記録

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昨年10月に出現したさいだん座流星群の活動が、YouTubeで公開されているすばる望遠鏡の星空ライブカメラにとらえられていた。研究者と市民科学者とが協力して検証を行った成果だ。

【2022年3月9日 すばる望遠鏡

昨年10月、さいだん座の方向に放射点を持つ新しい流星群が出現する可能性が複数の研究者から発表された。2015年にアウトバーストを起こしたフィンレー彗星(15P)を母天体とするこの流星群は、10月6日ごろに出現すると予測された。

予報を発表した研究者の一人、国立天文台の佐藤幹哉さんは、米・ハワイのすばる望遠鏡からYouTubeでライブ配信されている星空ライブカメラにこの新流星群が映るのではないかと考え注目していた。ピーク予想の時刻はハワイでは日中だったが、出現の終わりごろが見えることに期待したのだ。

ライブ中には顕著な流星群の活動は確認できなかったものの、前後数日間のアーカイブ動画を利用して、佐藤さんやハワイ観測所の田中壱さん、星空ライブカメラ視聴者たちが検証を行った。その結果、予想された経路に沿って飛んだ流星が、当夜だけ確かに増加していることが示された。流星の特徴は予報通り、ゆっくりとした暗いものが大半で、眼視観測では検出がほぼ不可能な明るさだった。

さいだん座流星群
マウナケア天文台群の上空を流れるさいだん座流星群。右上から左下に流れ落ちる短い筋がさいだん座流星群による流星(候補)。2021年10月6日19時~20時40分 (ハワイ時間) に流れた24個の流星を合成(提供:国立天文台・朝日新聞社)

2021年10月5~7日の流星数
2021年10月5~7日(各19:00~20:40)の10分毎の流星数。(赤)さいだん座流星群と思われる流星、(青)散在流星。10月6日にさいだん座流星群候補が顕著に増えている(提供:NAOJ/田中壱)

「個人的に保存しておいたアーカイブ動画をこうして役立てていただいて嬉しいです。皆さんと一緒に調べた結果をまとめていただくと、そこに流星群の様子が浮かび上がってきたのには感激しました」(録画データの提供と流星の係数に協力した「私めめ」さん)。

「自分の計算でも出現を予報していたこの新しい流星群の検出に関われたことをたいへん嬉しく思います。新流星群の検出は、長い時間をかけて映像を詳しく確認していただいた市民ボランティアの皆さまのご尽力の賜に他なりません。深く感謝します」(佐藤さん)。