太陽観測衛星「ひので」が遭遇した金環日食
【2014年10月29日 JAXA】
太陽観測衛星「ひので」が日本時間10月24日朝、北米上空高度680kmで月による影の中(金環日食が見られる擬本影、直径187km)に入り、金環日食を観測した。この金環日食を見ることができたのは衛星軌道上のみで、地上では北米地域(米国、カナダ)等で部分日食が観測された。
公開された画像は、「ひので」に搭載されているX線望遠鏡(XRT)が撮影したものだ。西(画像の右側)から現われた新月状態の黒い月が太陽面を横切り、X線で輝く太陽コロナを背景に通過していくようすがとらえられている。リリースページでは、動画も見ることができる。
部分食開始から2分後:日本時間6時48分(提供:JAXA/国立天文台。以下同)
金環日食の最大食:日本時間6時53分
部分食終了2分前:日本時間6時58分
「ひので」は2006年9月23日の打ち上げから8年を迎えているが、これまでに軌道上で皆既日食1回(2007年3月19日)と金環日食2回(2011年1月4日と今回)に遭遇している。
今回の日食時には、「ひので」に搭載されている極端紫外線撮像分光装置(EIS)を用いて、太陽の極域にあるコロナホールと呼ばれる暗い領域の観測も行われた。月が太陽面を隠す日食は、望遠鏡の較正のためのデータ(観測データから散乱光の影響を取り除くためのデータ)を高精度に取得することができ、散乱光の影響を受けやすいコロナホールの物理状態を把握するうえで貴重な機会となった。
〈参照〉
- ひので観測チーム: 太陽観測衛星「ひので」が遭遇した金環日食の画像・動画を公開
〈関連リンク〉
- 国立天文台: http://www.nao.ac.jp/
- JAXA: http://www.jaxa.jp
- アストロアーツ:
〈関連ニュース〉
- 2011/01/07 - 宇宙から見た金環日食 太陽観測衛星「ひので」が撮影
- 2007/03/22 - 太陽観測衛星「ひので」が観測した皆既日食のムービー公開
〈関連製品・商品〉
関連記事
- 2024/09/26 2024年10月3日 金環日食(南太平洋、チリ、アルゼンチン)
- 2024/09/06 日食ソフト「エクリプスナビゲータ」用日食要素を公開 10月2日金環日食の月縁補正に対応
- 2023/10/05 2023年10月15日 金環日食(北中アメリカ、ブラジル)
- 2023/09/15 日食ソフト「エクリプスナビゲータ」用日食要素を公開 10月14日金環日食の月縁補正に対応
- 2023/09/06 インド、初の太陽観測衛星の打ち上げに成功
- 2023/04/13 2023年4月20日 部分日食(インド洋~インドネシア~太平洋で金環皆既日食)
- 2023/01/10 日食ソフト「エクリプスナビゲータ」用日食要素を公開 4月20日金環皆既日食の月縁補正に対応
- 2021/06/09 10日の金環日食を「エクリプスナビゲータ4」でシミュレーション配信
- 2021/06/03 2021年6月10日 金環日食(カナダ・北極海・ロシア)
- 2021/04/05 日食ソフト「エクリプスナビゲータ」用日食要素を公開 6月10日北極圏金環日食の月縁補正に対応
- 2021/02/26 表面からコロナ直下まで、ロケット観測でわかった太陽の磁場
- 2020/10/15 「恒星としての太陽」からわかること
- 2020/06/12 2020年6月21日 部分日食(アフリカ~インド、中国、台湾で金環日食)
- 2020/05/21 【特集】部分日食(2020年6月21日)
- 2020/04/03 日食ソフト「エクリプスナビゲータ」用日食要素を公開 6月21日アラビア半島~中国・台湾金環日食の月縁補正に対応
- 2019/12/26 【レポート】好天に恵まれたグアム金環日食
- 2019/12/19 2019年12月26日 部分日食(アラビア半島~シンガポール~グアムなどで金環日食)
- 2019/11/26 【特集】部分日食(2019年12月26日)
- 2019/11/18 「ひので」が見た水星の太陽面通過
- 2019/10/11 12月26日・アラブ日の出金環ツアー&グアム日没金環ツアー