ガニメデ内部に多段重ねの海の層?

【2014年5月7日 NASA

宵の西の空に輝く木星には、地下に海があるとされる大型衛星が3つある。そのうちのひとつ、ガニメデの内部が、氷と水の層の多段重ねとなっている可能性がシミュレーション研究で示された。


ガニメデ内部構造の模式図

ガニメデ内部構造の模式図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

木星の衛星ガニメデは、火星の4分の3ほどの直径を持つ太陽系最大の衛星だ。おなじく木星の衛星カリストとエウロパ、また土星の衛星タイタンやエンケラドスとともに、地下に海をたたえているとされる天体のひとつである。

ガニメデの場合は従来、2つの氷の層に液体の水の層がはさまれていると考えられてきた。だが今回、硫酸マグネシウムの塩の存在を考慮したシミュレーション研究から、さらに複雑なモデルが導き出された(画像)。

Steve Vanceさん(NASAジェット推進研究所)らの新しいモデルは、岩石のコアと、最大で3つの氷の層にはさまれた水の層から成る。圧力で水よりも高密度になった氷が沈んで天体深部の氷の層となり、塩を多く含む高密度の水がより深部の水の層となる。また、もっとも表面に近い水の層では、対流により生まれた局所的な低温部分が氷と塩に分離し、軽くなった氷だけ浮かび上がった雪の層の存在も示唆されている。

ただしこの構造がどのくらい安定して持続するのかは不明なため、現在はまた違った状態かもしれないという。

地球の生命が海底の熱水噴出孔から誕生したと言われるように、水と岩石が接する場所が生命を育むと考えられている。ガニメデの内部に岩石層と接する水の存在を編み出した今回の研究成果は、生命環境の可能性を示唆するものでもある。

2022年にはヨーロッパの探査機「JUICE」が打ち上げられ、2030年代にガニメデ、カリストやエウロパに近づいて詳しく調査する予定だ。

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