超高輝度超新星が通常の超新星の100倍明るい理由

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超高輝度超新星の新たな理論モデルの計算から、星が爆発直前に放出していた大量のガスと超新星爆発時の噴出物とが激しく衝突することにより、通常の超新星よりも100倍程度明るく輝くことが示された。

【2016年11月28日 カブリIPMU

大質量の恒星は一生の最期に大爆発を起こし、明るく輝く超新星として観測される。近年、「超高輝度超新星」と呼ばれる、通常の超新星の10倍から100倍も明るく輝くものが発見されるようになり、こうした高輝度を生み出すエネルギー源や爆発のメカニズムについて盛んに研究が進められてきた。

露・シュテルンベルク天文研究所/東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)等のElena Sorokinaさんたちの研究チームは、高輝度超新星の「SN 2010gx」と「PTF09cnd」が高輝度となった要因をシミュレーションで探った。これらの超新星はType Iと呼ばれる水素の乏しい超新星に分類されるもので、その高輝度の理由はよくわかっていなかった。

Sorokinaさんたちは、超新星爆発時に既に周囲にあった大量のガスと超新星爆発時の噴出物が爆発的な衝突をするというモデルを仮定し、爆発時の光度変化を複数の波長で示した。すると、両超新星の輝度の時間変化が上手く説明できた。

高輝度超新星の光度曲線
急速に減光するSN 2010gx(緑)と、ゆっくりと減衰するPTF09cnd(ピンク)の光度曲線。丸や五角形が観測データ、実線がシミュレーション(提供:Kavli IPMU、以下同)

この理論は、超新星爆発前から存在していた周囲の大量のガスが、超新星爆発時の輝きに大きな影響を及ぼしていることを示唆するものだ。周囲のガスの量は太陽質量の100倍以上と見積もられ、超新星爆発前の星は初代星であった可能性がある。一方で初代星には通常、豊富に水素が含まれていたと考えられるため、何らかの形で爆発前に水素が奪われていた可能性があり、さらなる理論的研究が必要とされる。

周囲のガスと衝突している超新星の想像図
周囲のガスと衝突している超新星の想像図。青いリングには、急速に噴出するガス(赤から黄色の部分)によって開けられた穴がある。ガスとリングの衝突は放射状の衝撃波となって(赤から黄色の部分)、莫大な量の光を発する

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