宇宙の最盛期に最期を遂げた超高輝度超新星
【2017年7月31日 RAS】
超高輝度超新星は普通の超新星の10~100倍も明るい天体で、これまでにあまり検出例がなく、起源や物理的プロセスはよくわかっていない。そのような超高輝度超新星のなかでも、2015年11月にほうおう座に見つかったDES15E2mlfは、とくに変わった存在だ。
これまでの観測で超高輝度超新星は、大きな銀河に比べると重元素が少ない傾向にある低質量の銀河や矮小銀河に発見されている。しかし、DES15E2mlfは大きく見た目が普通の銀河に現れた。「現段階では、重元素の少ない環境が超高輝度超新星の発生に重要であり、同天体は低質量銀河に発見される傾向にあると考えられているのですが、DES15E2mlfは典型的な超高輝度超新星の母銀河に比べると比較的大きな銀河にあります」(米・カリフォルニア大学サンタクルーズ校 Yen-Chen Panさん)。
「一生の終わりを迎える重元素の少ない星は、燃料がなくなって崩壊する際に質量の大部分を維持しているため、より大きな爆発を起こします。質量の大きな銀河に超高輝度超新星が見つかったのは、現在の考え方に合いません」(カリフォルニア大学サンタクルーズ校 Ryan Foleyさん)。
「この銀河には、重元素を生成する時間が足りなかったのかもしれません。宇宙初期の時代には、質量の大きな銀河でも重元素の量が少なかったために、超高輝度超新星爆発が可能だった可能性があります」(Foleyさん)。
DES15E2mlfが爆発したのは今から約100億年前の、宇宙の歴史において星生成が最も盛んだった時代と考えられている。DES15E2mlfから、宇宙が星生成の最盛期を迎えていた頃に存在していた星や銀河の性質に関する手がかりが得られるかもしれない。「本当に知りたいのは通常の超新星に対する超高輝度超新星の相対的な割合ですが、遠方宇宙の普通の超新星は暗くて見えないため比較はできません。しかし、この時代に大質量星が爆発を起こしていたことがわかっただけでも重要な結果です」(Foleyさん)。
〈参照〉
- RAS News&Press:Superluminous supernova marks the death of a star at cosmic high noon
- MNRAS:A Spectroscopically Confirmed Superluminous Supernova that Exploded 3.5 Gyr After the Big Bang 論文
〈関連リンク〉
関連記事
- 2020/01/31 超高輝度超新星SN 2006gyの正体を解明
- 2019/06/04 すばる望遠鏡、遠方の超新星を大量発見
- 2018/04/20 ロングガンマ線バーストと超高輝度超新星との関係
- 2018/02/26 これまでで最遠、105億年前の超新星を発見
- 2017/09/13 超高輝度超新星が紫外線波長で輝くメカニズム
- 2016/11/28 超高輝度超新星が通常の超新星の100倍明るい理由
- 2016/03/30 マグネターが生み出す超高輝度超新星の輝き