星形成につながる重力のダンス
【2017年7月13日 RAS】
「天の川銀河の恒星間物質中には、塵だらけのフィラメント状の構造がいたるところにあることがわかっています。フィラメント中の最も密度の高いものが分裂して冷たいガスのコア(分裂片)になり、さらにそれが自身の重力で崩壊することで個々の星が誕生します。しかし、こうした一連のプロセスがどのように起こるのかは、正確にはわかっていませんでした」(英・カーディフ大学 Gwen Williamsさん)。
Williamsさんたちの研究チームはカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(JVLA)とグリーン・バンク望遠鏡(GBT)を使って、重力が高密度のガスの運動に及ぼす影響を観測した。観測対象となったのは、いて座とへびつかい座の境界付近にある「SDC13」というガス雲だ。SDC13は中心に向かって収束する4つのフィラメントから構成されており、総質量は太陽の1000倍に相当する。
観測により、まだ星を形成していないコアの3分の2で、アンモニアガスの動きが激しくなる様子がとらえられた。ガスの動きが激しくなるのは、物質が周囲のフィラメントに引っ張られてガス雲内に点在するコアに降り積もり、重力エネルギーが運動エネルギーに変換されるためである。
「フィラメントが合流する領域はガス内部の動きが最大で、最も大きなコアが複数存在しています。ここでも同様のプロセスが起こっているのでしょう。さらにここでは強い加速度勾配が作られて物質が大量に蓄積され、巨大なコアが形成されると推測しています。つまり、複数の恒星間フィラメントが集まるようなところは、天の川銀河における最大級の星が誕生するのに最も良い特別な場所なのです」(Williamsさん)。
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