暗がりからの輝き、星形成領域おおかみ座3
【2018年2月6日 ヨーロッパ南天天文台】
天の川のあちらこちらには暗黒星雲と呼ばれる、南十字星のそばの「コールサック(石炭袋)」や、いて座・さそり座付近のような暗い部分が見られる。暗黒星雲の正体は低温の濃い塵の集まりで、塵が星雲内の天体や背景からの可視光線を散乱、吸収してしまうために暗く見えるのだ。
地球から600光年の距離に位置する、おおかみ座分子雲もそうした暗黒星雲の一つで、星々の中を横切る不格好な蛇のような形に見える。その一角に位置する星形成領域「おおかみ座3(Lupus 3)」をヨーロッパ南天天文台ラシーヤ観測所のVLTサーベイ望遠鏡とMPG/ESO 2.2m望遠鏡で観測して作られた画像が公開された。
多くの暗黒星雲と同様、おおかみ座3も活発な星形成領域で、そこには原始星や非常に若い星が含まれている。生まれたての星々からの放射の大部分は星雲の厚いベールに遮られてしまうため、赤外線や電波で観測しなければ見ることができない。しかし、星がより明るく高温になると、強力な放射と恒星風によって周囲の領域のガスや塵が取り払われ、星は薄暗かったゆりかごから姿を現して明るい輝きを放つようになる。画像中央の青く明るい2つの星は、まさにこうして見えるようになったものである。
星雲の観測研究は星形成を理解する上でとても重要だ。太陽も、おおかみ座3にとてもよく似た星形成領域で40億年以上前に形成されたと考えられている。
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