- John Wiley & Sons
- 22.9cm×18.8cm、288ページ
- ISBN 978-0-471-70410-2
- 価格 1,827円
- ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。
天文・宇宙開発関係書の出版が増え、大書店の書棚に何年あるいは十何年も前に出版された本がホコリにまみれて並んでいることが減ってきたのは、まことに喜ばしい限りである。だが、第一級のアマチュアが読む本がきわめて少ないのは相変わらずの事。和書の出版界はまことにお寒い限りだ。
そんなみなさんに、英語で記されていることを除けば絶対おすすめなのが本書。それほど高価でなく非常におもしろい本である。評者は洋書店に平積みで販売されている本書を見て、嬉しくなってしまった。著者は米国の歴史ある有名天文誌Sky & Telescopeの有力執筆者で、平易な解説は有名だが、それゆえにコダワリが第一級なのである。
本書には、21個の1等星それぞれについて、本書出版時(2008年)における最新知識・情報が詰まっているのだ。その内容はすごい。ベガが極半径2.26太陽半径で赤道半径2.78太陽半径、同じくアケルナルでは7.6と11.8であり、レグルスでは3.15と4.15ということだけ、ここではご紹介しても良いかな。その他盛り沢山の情報を、天文普及家(申し上げるまでも無く普通の天文ファンも含む)の皆さんが読めば、星空解説は抜群のものになること間違いなし!
各1等星に費やされたページ数は以下のとおり。シリウス(21.5)、カノープス(11)、ケンタウルス座α(10.5)、アルクトゥールス(10.5)、ベガ(10)、カペラ(11)、リゲル(5.5)、プロキオン(7)、アケルナル(4)、ベテルギウス(8.5)、ケンタウルス座β(3)、アクルックス(2.5)、アルタイル(8.5)、アルデバラン(11.5)、スピカ(7.5)、アンタレス(9)、ポルックス(5.5)、フォーマルハウト(8)、ベクルックス(3)、デネブ(6.5)、レグルス(7)。温度・質量・半径・光度・分光型・位置・距離・空間運動などの物理表が一覧で示され、用語集や参考図書の紹介も親切だ。こんな本を出してくれる人は日本にいないのだろうか。