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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

Planets Beyond Discovering the Outer Solar System

表紙写真

  • Mark Littmann 著
  • Dover Publications, Inc.
  • 23cm×16.4cm、344ページ(ペーパーバック)
  • ISBN 978-0-486-43062-9
  • 価格 2,214円
  • ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。

以前も一度ご紹介したように、Doverは名著の復刻版の出版社として定評がある。原本が1990年に出版された本書もその一つで、19世紀半ばから20世紀終末までの惑星研究をたどる歴史書として右に出るものはないと評者は考えている。1970年代終わりの惑星探査を語るとすれば、マリナー探査機・ボイジャー探査機を置いて他にない。それは、実に歴史に残る快挙となった。本書が洋書店の書棚に並んでいるのを見た途端、評者はレジに並んでいた。

この時代の洋書はおしなべて老人の目には向かない。本書も困ったことに同様だ。老眼鏡を持ってしても読めないほどの小文字で組まれているのだ。だがそれを裏返せば、それだけ内容が濃いということ。天王星に始まり、海王星・冥王星の発見史をこれだけ詳細に記述している本は、筆者が思い起こす限りあまりないし、トンボーによる冥王星発見時のエピソードや天文台写真などは、評者にとっては初見だった。ボイジャー計画の裏話も貴重である。もちろん原本の出版年からして、現在の太陽系外縁天体の話を期待するのは無理だが、時代を締めくくる本としては、絶対におすすめだ。

だいぶ前から文献を丹念に調べていたのだが、ボイジャー1号が秒速16.6kmできりん座のAC+79.3888に向かい、西暦40272年に1.6光年地点を、また2号が秒速14.8kmでアンドロメダ座のROSS248星に向かい、西暦40176年に1.7光年地点を通過するという具体的な情報は、本書で初めて知ることができた。数式は全く使われず、評者が読みこなすことができるほど英語も難しくはないので、ぜひみなさんにおすすめしたい本である。

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