- Harry N Abrams
- 15.7×15.7cm、240ページ
- ISBN0-8109-9307-4
- 価格 2,074円
- ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。
人類による数々の発明の中で、映画・ビデオを含む写真術は、やはり特筆されることだろう。ある意味では、絵画より優れているといえるかもしれない。なぜならロボットや通信技術によって、遠隔地や人の覗き込むことができない場所の様子を、ありのままばかりでなく必要に応じ増幅強調して確認することができるからだ。この「月の写真集」を見てつくづくそう実感する。
本書は月の美しさを強調しただけの写真集ではない。科学する目で見た月の美術写真集なのだ。ハイリゲンシャイン現象, ムーンボウ, 幻月, 光環など滅多に見ることができないものや、大気差でまるでキノコ雲の満月、γ線・X線・擬似カラーで見た月、探査機で見た月、他の惑星の月など、まったく珍しい映像が(小冊子ではあるが)高解像度で眼前に広がる。
なかでも、第二の月探査時代といわれる現在に出版されただけあって、240ページ中90ページほどを有人・無人の月探査機による多数の映像が占めている。
ジュール・ベルヌの有名なSF「月世界旅行」の初版本表紙と挿絵があったり、米国のジェット推進研究所が1957年に提案したレッド・ソックス・プロジェクト(大リーグの球団とは無関係)のロケットの図があったり、ともかく見たこともないような写真のオンパレード。各章ごとに見開き4ページずつの説明がつくが、いずれもやさしい英文。持っていると至福感に浸れる本ですよ。