- AIAA 刊
- 23.2 x 15.6 x 1.4cm、128ページ
- 2002年5月
- ISBN 978-1563475313
- 価格 4370円
- ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。
歴史的名著は、それが原本でもファクシミリでも、みなさんぜひ入手してください――評者が洋書新刊書店で本書を手にしたとき、このセリフを最初に想起した。
2002年にAIAA(American Institute of Aeronautics and Astronautics)がファクシミリ版で再刊した本書だが、この本はアメリカ人もその価値を認める世界的歴史的名著である。この本(及び以前ご紹介したフォン・ブラウンの「The Mars Project」を読まずしてロケットと宇宙開発を語ってはいけない、と評者はかたく信じている。
序(無署名)に、「本書は、ロケットと推進剤の歴史における2編の最重要資料と言われる『A Method of Reaching Extreme Altitude:1919年刊』と『Liquid-Propellant Rocket Development:1936年刊』を編纂した」とある。いずれもスミソニアン研究所から出版された。初回再版は1946年アメリカ・ロケット協会、第2回再版が今回のもの。その注目される内容は、前者がロケットの将来性を、後者がその燃料、特に液体燃料の有用性・危険性が主に論じられている。
ゴダードが当時周囲からの様々な雑音に出会いながらも初志貫徹した裏側には、これだけの理論の裏付けと研究心、それに実験力があったのだということを本書から読み取ることができた。
学生時代、当時天文教室助手だったU先生から戴いた様々なご指導の中に「新書は絶対読むな。必ず原典にあたれ」という言葉があった(守っていないが)。ゴダードの本書を読んで。評者は今その言葉をありがたく噛み締めている。
ニュートン力学から導出されるゴダード理論の基本式から、著者の自信を漲らせてタイトルに書いた「Extreme Altitude」という言葉が連想できるだろうか。評者は今後(残り少ない)一生を掛けて、これらの勉強を何とかしようと心に誓った。
また本書には、ゴダードによるロケットに関する貴重な写真資料が44セットも収録され、内2セットは1935年5月31日(25枚)と10月14日(20枚)の打上実験の連続写真である。おそらくロケット愛好者にとっては垂涎のものであるはずだ。宇宙開発やロケット工学に向学心を燃やすみなさんに、本書をぜひお勧めしたい。