- Sky Publishing
- A4変型判、180ページ
- ISBN 978-1-931559-32-4
- 価格 29.95USドル
- ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。
6cmから30cmクラスの望遠鏡の対象となる2101個もの二重星のデータと実際の見え方を、星座ごとに表形式でまとめた。アルビレオやプルケリマのように、固有名が付いている有名な二重星くらいしか見たことがないのは、アンドロメダ銀河やすばるといった、有名な星雲・星団しか見ていないのと同じかもしれない。そんな気にさせる、他に類を見ない二重星ガイドブックだ。
日本の出版事情とアマチュア天文学におけるレベルの違いを、まざまざと見せつける本。裏表紙に載せられた望遠鏡をのぞき込む姿で判断する限り、本書の著者はいわゆるプロの学者ではなさそうな女性だ。もしそうなら、その人が二重星の観測に打ち込んでいるなどと想像することすら、我が日本では不可能だ。流星など一部を除き、天体観測の分野では女性の進出が目立たない。二重星部門にいたっては日本では男性も僅少なのでに挑むだけでも価値がある。
本書を開いたとたん、それが第一級の史料であることを認めざるを得なくなる。本質的には二重星の表であるが、「この星はオレンジとコバルトブルーの対比が美しい」というような星の案内書ではない。「瞳が開くまで最低15分、人によっては45分待て」といった多数の“ヒント”など実地観測に即したものだ。それぞれの星につけられたコメントも、過去の観測者のメモが多数引用されている。気流が悪く、二重星の観測には向かない日本だが、この本を片手にする観測者が増えることをぜひとも願いたい。