- 岩波書店
- 13×18.2cm、106ページ
- ISBN 978-4000296434
- 価格 1,404円
タイトルに「!」を付けたのが先ず憎い! ネットで表紙を見るだけなら(私はしない)、オーロラの写真集と間違えるかもしれないセンスを感じさせる付け方。でも国立極地研究所准教授の著者は、本書をりっぱな宇宙空間物理学書に仕上げた。勿論論文ではなく、文体も語り口も素人受けする本となった。すなわち、オーロラとはどんなモノか、から始まって、その観測研究方法、オーロラの鼓動や立体写真撮影、これまでとこれからのオーロラ活動等々、オーロラの現代的研究を楽しく読むことが出来る本だ。
これまでも評者はオーロラや高層気象関係の本をみなさんにご紹介してきたが、本書は宇宙飛行士試験を受けたという理系の学者の意気込みが感じられる出色の本だ。理学書にありがちな数式はまさしく一つもなく、横になりながらでも読むことが出来るが、フリッカリングと呼ばれるオーロラや、ディフューズオーロラ、オーロラのコーラスなどは、本書で初めて知ることが出来た。
オーロラの音については、他書でも学んだが(何しろオーロラ自体を拝見したことがないので)、他書ではその実在が疑われていた。本書では当たり前のように記されており、3Dオーロラ撮影と共に、時代は変わったのだとつぶさに感じることが出来た。一方評者最大の関心事太陽風の弱体化についても、大いに学ばせて貰うことが出来た。推薦したい。