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編集部オンラインニュース編集部による書評

気候変動と「日本人」20万年史

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気候変動と「日本人」20万年史

  • 川幡穂高 著
  • 岩波書店
  • 227ページ
  • 定価 2200円

本書は、題名からご推察できるように天文書ではないが、言ってみれば人類史、特に縄文・弥生時代以降の日本人史に焦点を当てた本である。2022年7月、筆者が行わせていただいている各地カルチャーセンターでの講座で七夕テーマのお話をし、本当の七夕が何故旧暦で行われなければならないかを皆さんに説明している際に、七夕にまつわるエピソードをご紹介するにあたって本書がたいへん役立ったので、急遽ご紹介することにした。

読者の皆さん、奈良時代以降日本で語られる話では、織女が天帝である北極星(天の川の西側)から、牽牛がいる東岸に月の舟に乗船して天の川を渡るという話はよくご存じでしょう。日本にいない「かささぎ」(烏の一種:中国以西に生息している)が造る橋を渡るというのは日本の話ではない。農耕に苦労している農民の話なのだ。そのあたりの事情が、第5章「現代日本人の遺伝子の故郷」、第6章「水稲栽培伝来と弥生人」、第7章「中国の勢力拡大と日本社会の発展―紀元前5世紀から紀元前2世紀の寒冷気候」、に詳細に描かれている。評者はこれまでにこの件で参考になった本を他に知らない。

本書を読みながら、日本の気候の長期変動の原因は太陽活動があるに違いないと確信した次第。お勧めします。

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