- 朝日新聞出版
- 232ページ
- 定価 869円
評者が関係する変光星でも、ユリウス日や食連星の変光周期の変動などで、計算式は欠かすことができない。一般相対性理論とは比較にならないほど簡単な数式だが、観測のまとめにそれを使わないわけにはいかない。その意味で、数式は評者にとって必須の知識である。よって、占い師ではなく評者は科学者なのだ。それはともかく、第3章と第4章のニュートン理論と一般相対性理論の記事は、楽しく読ませてもらった。
特に幻の惑星バルカンのニュートン理論や日食観測による一般相対性理論の検証の記事は、実に有益だった。ガモフやハッブルらのアインシュタインとのライバル争いも面白かった。ビッグバンが大爆発と捉えられがちだが、そうではないと主張される筆者の意見も有益だった。また、初期宇宙の一点でビッグバンが起こったのではなく、実はビッグバンがあらゆる場所で起こったのですという見方も有益だった。宇宙からの電波は、今ここにもあるのだとか、宇宙を特徴づけるパラメーターが6個もあるという説明も判りやすく、またブラックホールと重力波の最新話題と理解しやすい説明は、感謝一杯である。
世界が種々な法則に支配され、法則が数学で書かれており、宇宙自体が法則である、だからこそ法則を解明した人類がこの宇宙からいなくなれば、宇宙そのものが消滅するのだという著者のご説明には、大いに納得することができる。ぜひ多数の方がお読みください。