- KADOKAWA 刊
- 10.9 x 17.2cm、206ページ
- 2014年7月
- ISBN 978-4-04-101647-3
著者は、JAXA有人宇宙ミッション本部宇宙環境利用センター/計画マネージャーという要職にある人。さまざまな業務の中でもとりわけ宇宙飛行士の選抜に関わる仕事を長年しておられた。本書はその長い経験にもとづいて、宇宙飛行士に的確な人を選抜する基準を示したものである。油井さん、大西さん、金井さん(筆者の親戚ではない)、古川さんら宇宙飛行士に関わる話も随所に盛り込まれている。
筆者も(恥ずかしながら)数十名のプラネタリウム解説員の採用と育成に関わってきた。その際、採用面接や給与査定時の採点は必ず加点法で行った。本書を読み進む際、この方法が鮮やかに蘇ったのだ。なぜなら宇宙飛行士に満点の人がいないのと同様、筆者を含めて解説員にも満点者はいない。お客様の想定不能な質問や、天文学者にもわかっていない疑問にいかに対処できるかということは、宇宙において常に想定不能な危機と対面している宇宙飛行士の対処方法と同じだからだ。
したがって、本書は人を評価する立場にある会社人事部や部門長の方にぜひ読んでいただきたい。必ずや思い当たる場面があるはずだ。もちろん一般のみなさんにも、「優秀な人材であればあるほど、放っておいては成長しない」という著者の言葉を教訓とされたい 。