- KADOKAWA
- 256ページ
- 定価 990円
前回の本書評でご紹介した全く同じタイトルのブラックホールの本だが、今回の本は文庫本であることもあって、姿勢を正して読む本ではない。むしろ、電車の中で立ち読みも座り読みもできる簡便気楽な本である。目の前で、本書を読んでいる人を見かけたら、評者なら間違いなく声かけをしてしまうだろう。残念ながら今まで、スマホご時世のためか、そういった貴重な体験をしたことはないが…。
ともかく、ブラックホールは、現代では最もよく知られた天文現象の一つ。ただし、天文現象と正しく認識されている皆さんは、一体どれだけおられるだろうか。今やM87ばかりでなく銀河系中心にもまします神様のような存在だ。だが、一度飲み込まれると絶対に出ては来られない地獄のごとき存在。ブラックホールの理解は欠かせない。
筆者は、カルチャーセンターで60歳を超えた皆さんに、天国や地獄に行くならブラックホール内ですよと、冗談めかして申し上げている。ついでに、もしかするとダークマターの中かもしれないともお話ししている。天国と地獄は実在するのか、未だに不明だが、そんなことを冗談めかしてのお話だ。ブラックホールに地面はない、本当の黒で、一方通行で、時間は止まり、事象の地平線望遠鏡というのが実在する。見えないとよく言われるが、周囲のガス円盤は見えるのです、など面白い話題で周囲は溢れているのだ。