- 角川学芸出版
- A6判、274ページ
- ISBN 978-4-04-405202-7
- 価格 780円
佐藤先生も監修本の出版が多い方なので、昔あった○×ブックス△□99の謎というのと勘違いし、評者は書店の積み上げの前をフイと一度通り過ぎてしまった。だが、店内を一巡して出口に向かったそのとき、もう一度そこに目をやったのが運の尽き、というよりも幸運だった。「99」じゃなくて「96」ではないか!現代宇宙学(今や宇宙論ではなくなった)で96といえば、見えない物質と見えないエネルギーの総和ではないか!
それからが大変だった。本書を完読するまで非常に時間がかかった。1章読むのに一生かかると思えたほどだ。
文庫版あとがきに「2003年実業之日本社から単行本初版」とある(申し訳ないことに評者は知らなかった)。実は、本書はご自身が創始したインフレーション宇宙論を主軸にした佐藤先生渾身の快書なのだ。多分誤解している人が多いと思うが、宇宙の年齢(つまりビッグバン時)が137億年前だから、その場所は地球から137億光年の距離にあるというのは間違い。本書を読むと正解は470億光年ということが、理由とともに明確に認識できるはずだ。それこそがインフレーションの意味なのだ。
ぜひ本書を途中で投げ出さずに、最後まで読み終えたときの感動と快感を味わっていただきたい。すると、現代宇宙学の醍醐味が、まるで神様になったかのようにわかる!評者は、朝の通勤電車内で、一人ほくそえんで(おかげで人が近寄ってこない)2度目の完読に挑戦中(ニ生目)だ。