- KADOKAWA 刊
- 18.6×12.8cm、270ページ
- ISBN 978-4046015082
- 価格 1,512円
何度となく申し上げてきたことだが、本書評での推薦基準はプラネタリウム解説員に読んで欲しい点にある。評者は38年間プラネタリウム来館者にご案内をしてきたし、今も各地カルチャーセンターでそれを続けている。お相手のみなさんのご職業は実に様々。よって天文の知識も様々。共通点は「星が好き」それだけ。そういった方々に、のっけから星の話ばかりでは切り口もヘッタクレもない。世間話から各種体験談をきっかけに、いかにして星の話にお引き寄せするかが重要なのだ!
本書は観光開発の仕事に悩む方々がなぜ「星」を売りだしたのかがヒシヒシと伝わるもの。何年も前に、ある自治体の自然の家で参加者がバスを降りた瞬間、眼前に広がったとうとうと流れる銀河の姿にビックリ唖然「まるでプラネタリウムみたい!」とあげた叫び声を、評者は今も脳の奥底から聞くことができる。頭を下げて地面を見つめながら歩く現代人共通の困った習慣を改めさせることが解説員には必要なのですよ。
特に本書77〜204頁にわたる「変革のための8種類のプロセス」は、どのビジネスにも応用できる重要な記事である。その実践によって、環境省が日本一星空が美しい場所と認定した阿智村での観光ビジネスが成功したことが、手に取るように判るのだ。なぜか、今年9月初めに同所で開催のバスツアーに、評者も昨年末に同行することになった。