- KADOKAWA
- 21.7×29.2cm、112ページ
- ISBN 978-4048694308
- 価格 2,160円
評者より5歳も年上の著者の本の書評とは、相当におこがましい話だが、冬、春、夏、月・太陽と惑星、銀河系と宇宙…、続々と出版が予定される冒頭で、書評させていただくことは、こだわり天文書評家としては光栄の至りである。というより、白河天体観測所創立者兼所長、豪州のチロ天文台創設者、日本人初の天体写真家としての活動は、評者の五島プラネタリウム時代も富みに有名だった。
要するにアマチュア天文学の粋を極めた方らしく、これまでの多数の著書同様、本書には星への愛情が溢れているのだ。いや、集大成と申し上げるべきか。もちろん大変に美しい多数の掲載星野写真を見れば、その溢れんばかりの情熱が感じられ、また、美大で本格的に培われたあのユニークな説明図も楽しいばかりだ。特に、あのユニークなゲンコツスケール図は、誰もが理解できるというもの。
学術書ではないので、押しつけがましさもなく、星座神話の説明などではサラッと読み流すことが可能で、やっぱりアマチュアというのは藤井さんを見習わなければいけないと、評者は大きく反省しなくてはならない。多数の古星図に見られる表情豊かな神々と化け物の絵は、子供から大人まで見るだけでギリシャ神話の世界に浸ることが出来る。多数のご家庭でやがて全巻が揃えられることを、切に願ってやまない。