- 講談社
- 新書変型判、197ページ
- ISBN 978-4-06-257481-5
- 価格 861円
「わかりやすいよい本だな」が<はじめに>と<プロローグ>を読んだ第一印象。引き続き第二章以下を読み始めたら、たちまち「わかりやすい」が「おもしろい」にかわった。その後は一気読みである。近頃こんなにたのしく「銀河系と銀河の話」を読んだことは無かった。つまり、本書はドキドキ・ワクワクしながら読む本なのだ。
図書館から借りた本ではないから、遠慮会釈無く、評者は本書に線を(ただし消せる赤ボールペンで)引っ張り続けた。電車の中だったのでひねくれた線になってしまったが、どのページも赤線だらけになってしまった。
毎晩のように本書から得た銀河雑学を書き込んでいたら、数晩で雑記帳がいっぱいになってしまった。
サブタイトルにあるごとく、本書は入門書だ。ただし、銀経・銀緯、バルジ、ハローなど専門用語は遠慮無くポンポン出てくる。要するに、相当の経験を有するスカイウオッチャー向けの銀河物理学入門書だ。評者と同じ、団塊世代より少し上の理系著者の特徴が余すところなく出た、星空ロマンとは無関係の理系頭脳所有者向けの本である。なのでわかりやすいのだ。そしておもしろいのだ。
あっと驚いたのが、本書に掲載されている、中西裕之氏が8台の並列コンピューターで描いた中性水素(波長21cmの電波)による銀河系の立体構造図である。圧巻だ。ぜひ、みなさん、おうちでご覧いただきたい。世界が変わります。銀河系観も変わります。
同著者による前書「宇宙生命へのアプローチ」とともにお読みいただきたい。