- 講談社(ブルーバックス)
- 新書判、474ページ
- ISBN4-06-257532-9
- 価格 1,418円
銀河(ギャラクシー)に右巻きと左巻きどちらが多いかを、学生時代に評者は数えたことがある。当時の少ない写真では同数だった。くだらないことのようだがそうでもなかった。もし同数にならなければ、宇宙が方向によって一様でないことになり、そうなる理由を科学的に説明しなければならないからだ。そんな思い出にいつまでも浸っているのだが、本書は面白い。ロンドン大学心理学教授で利き手および左右の分化の世界的権威という筆者の肩書きから、当然、医学的心理学的な話題が多いが、深く問題を追究していけば、自然はやはり共通項が見つかるということが、本書を読んでまず実感したことだ。新書版ながら450P以上の豊富な記事は、圧巻で見事という他はない。あらためて右・左という単純なことを評者は楽しんだ。訳文も有名な「ご冗談でしょう、ファインマンさん」の訳者にふさわしく、女性らしい機微に触れた名訳だ。