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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

天体衝突 斉一説から激変説へ 地球、生命、文明史

  • 松井孝典 著
  • 講談社(ブルーバックス) 刊
  • 17.2 x 11.2cm、280ページ
  • 2014年4月
  • ISBN978-4062578622

科学分野に特化された新書シリーズとして広く識者に知られたブルーバックスの最新刊で、しかも著名な松井孝典先生の著作としてもニューフェースの一書。「10分あれば本屋に行こう」という書名の本の主張を実行している筆者だが、本書はその絶大なる効果のひとつとなったもの。本当に良かった!

松井先生といえば、筆者と同じ年に生まれた方。先生はたぶんお忘れのことと思うが、筆者がまだ五島プラネタリウムの解説員だったころ、東大の研究室にお邪魔したことがある。星の会一般クラスという月一の講演会オペレータとして打ち合わせをするためだった。

筆者は別の大学出身だが、理科系研究室独特の臭いの思い出に浸りながら廊下を通りたどり着いた研究室は、まさしく学者の部屋だった。本だらけ。今筆者は自宅でそれを真似ている。同い年であるに関わらず、筆者をして学者を真似ようと思った思い出がある。

チェリャビンスク隕石やツングースカ事件、6500万年前の恐竜絶滅のことなど、実に詳細に記述され、衝突のエネルギー論がわかりやすく説明されているのも地球物理学者の先生ならでは。生命進化が、昔は常識だった斉一説から激変説に返り咲かねばならない理由や、これは筆者の持論なのだが原発に天体が衝突した場合の、おそらく目も当てられない状況が読者の皆さんにも如実に想像いただけるはずで、その点でも本書の熟読をお勧めしたい。