- 講談社
- 11.5×17.2cm、294ページ
- ISBN 978-4062579308
- 価格 1,166円
副題は一般相対性理論とは何かだが、光学・力学・相対論・量子論などを経て現代物理学に至る物理学史の本である。同分野の第一人者の書いた本。大きな特徴は、著者ライブラリーにある多数の物理学者による研究論文のコピー。もちろん英文や独文だが、辞書を片手に読んでみると、それぞれの人の個性まで読み取れて、オモシロイですよ。明治初期に描かれたいわゆるニュートンのリンゴの話の版画などは、評者は初めてお目にかかったものである。
また、エピソードも数多く記載され、日めくりカレンダーを編纂している評者にとっては、実に有り難い資料となった。近年、光学が非常にマイナーなものとなった。でも、近代物理学を語るのに、やはりそれを外すことが出来ないのは、本書記述でも明らかである。光の粒子説と波動説の論争から電磁波の発見、光速度不変の原理から相対性理論の確立、そして量子力学の台頭を経て、今や刻々と迫る重力波の発見に至るまでの説明は、本書以外では一般のみなさんにガイドする適役は無いだろう。
本書は、ともかく一度通読することをお薦めする、その上で読み返していただき、じっくりと考えてみるのが一番だろう。できれば、大学物理の一般教養の授業に副読本として採用され、専門の先生の指導を受けると良いかもしれない。