- 講談社 刊
- 17.2×11.2cm、272ページ
- ISBN 978-4062579704
- 価格 1,058円
これまでもブルーバックスは、評者のガタガタ書棚(地震がチョー心配)に150冊近くお世話になり格納されているが、1冊増えたのが本書。書棚にある光学に関する本の中でも出色のもの。ケプラー式とガリレオ式望遠鏡の光学系説明図も、これほど丁寧に比較されているのは他書にない。だが、積分方程式や行列式がやたらに登場する本書は、高校数学でわかる高校生が、果たしているだろうか。評者はこう見えても5年間、ある女子高で数学(本職は地学)も教えていた。50年近く前の話なので堂々とは言えないが、それでも高校生では難しいと思う。しかも、喩え数学が判ったとしても、そもそもレンズについてまともに現代の人々は勉強しないようだ。それも無理もなく、スマホだカメラだと言っても、みんなデジタルですからね。まともにレンズ系について触ることもがないのが実情。故に望遠鏡の構造などと言うのは、あの世の話らしい。
しかしながら、望遠鏡を自分のものにしようという熱心な観測者にとっては、そうはいかない。例えば角倍率、メニスカス・レンズ、屈折行列、サイデル収差、非点収差、色収差などを詳しく知りたい人は、本書を熟読されたし。評者も学生時代、赤い炭素星の測光観測をしたとき比較星が近所になく、青い星を使わざるを得ず、屈折望遠鏡の色収差に悩んだ。ともかく観測屋にとっては、必須知識なのだ。ぜひ本書のご購読をお勧めしたい。