- 講談社
- 17.5×11.4cm、320ページ
- ISBN 978-4062579834
- 価格 1,166円
「GW150914」という現象をご存じですか? もちろん正解は、一時は今年のノーベル物理学賞がこれで決まり! と言われた、2個のブラックホールの合体で重力波が放出された現象のこと。それが観測された日から丁度一年を本書の出版日とするなんて、憎い!
ともかく、本書は近時続々と出版された重力波関係の解説書中、最高峰に位置すると言える内容の本だ。詳細な上に判りやすい。天文関係者必読の本と言って良い。評者は著者にお会いしたことがないが、表紙裏に書かれた略歴通り、この分野の第一人者であることは、本書記事からも間違い無し。まず読者の皆さんには、目次各章タイトルの脇に小文字で書かれた導入文(これこそが読者に対する著者のメッセージ)を、熟読玩味することから開始いただきたい。それだけで、本書の読破! 願望が生まれるはずだからだ。そして、この粋にこそ著者が重力波研究に打ち込む全理由が込まれていると言える。おもしろいですよ。それらを味わったら、次は各章末の「ポイント」を読んで、それを把握した上で、本文を熟読されることをお勧めする。もちろん本文中にも、評者が新たに知ることができたビックリ新知見が満載。評者が学生時代のゼミで準星(当時は準星状電波源、QRS、クエーサー等と言った)って何? と大騒ぎしていたことが今昔物語で懐かしい。どうぞ皆さんは現代の新展開を熟読玩味いただきたい。齢70歳の老人は若い皆さんに大いに期待しています。