- 講談社
- 14.6×10.6cm、128ページ
- ISBN 978-4062924108
- 価格 648円
セイカイの報告と言っても、まるで○翼と言われてもしょうがない某国セイカイからの報告でもなければ、もうすぐ寿命が来るとも言われるセカイの著名人達に関する報告でもない。もちろんあのガリレオによる星界からの報告である。約40年前に岩波文庫から初版が刊行されたもの。ただし同書は後に出版されたイタリア国定版に基づいた訳書。本書は1610年にヴェネチアで刊行されたガリレオ自筆の物を底本とした初版本である。
評者は岩波文庫の初版から改訂版など数冊を持っているので、本文は誠にお馴染みのものだが、今回出版の講談社学術文庫版は原著ということは元より、なにより訳者(京大教授)の解説文がお目当てだった。その期待に十分応えてくれたばかりか、新しい視点も提供してもらえたので、本書は解説をみなさんに味わって戴きたい。例えば、解説冒頭の自然研究の世界を大きく変えたのが望遠鏡(と顕微鏡など)という部分。つまり、読者の皆さんが当たり前に毎日毎晩利用している望遠鏡は、実はそれが古い宇宙観を葬り去った装置だと言うこと、すなわち17世紀科学革命の原動力となったもの。そういうご認識を、ぜひこの際お持ちいただきたいのだ。もちろん、本文の方も歴史的名著なのでぜひ深く味わっていただき、小さく薄い本ではあるがお家の本棚の一番目立つところに飾っていただきたいというのが評者の切なるお願いである。