- 講談社
- 17.2×11.4cm、256ページ
- ISBN 978-4065020319
- 価格 1080円
書店で本書を見かけたとき、書棚の前で思わずヤッタァ! と叫んでしまった。誰もいなかったから良かった。特に著者(お会いしたことはないが)の名前を見たら、中味の確認もせずにキャッシャーに並んでいた。だが、最終ページに辿り着くまでとんでもなく時間を要した。本書は確かに優しく語りかけられている。だが、中味がオソロシク高度なのだ。だってそうでしょう? そうでしょうのその字を書いた瞬間は、もうそうとうな昔なのだから。それこそ評者が宇宙に目覚めた、たったの60年前から悩み続けてきたことなのだ。
我が宇宙(ユニバースとする)は、今から138億1000万±4000万年前にインフレーションで始まったとされている。つまり138億1000万光年の距離に、宇宙の始まりの所があるのですよ、ということ。それが時間=0の場所だと言われて、普通の人は素直に「はいそうですか」と言えないでしょう。それが本書には量子重力や弦理論とともにごく当たり前に、しかも判りやすく(と言いたいところだが)説明されているのだ。
評者は、これまでにマルチバースやら超弦理論やらの最深宇宙論の本を相当数読んできた。読み上げに時間はかかったが、本書をみなさんに自信を持ってお勧めする。もし本書を短時間で読破されたら、みなさんは立派な天文解説員になれますよ。本書冒頭に登場する1600年前の哲学者アウグスティヌスさんにも、できることならお勧めしたい!