- 講談社
- 17.2×11.4cm、246ページ
- ISBN 978-4065124994
- 価格 1080円
アインシュタインやホーキングが話題になるたびに出版された宇宙論の本が多かったため、いささか食傷気味で、観測屋を名乗る評者にとっては不満がたまる今日このごろだったが、本書はそれを見事にひっくり返してくれた。
まず、本書を巻いている帯を外していただくと、きっとビックリなさるはずだ。下手をすると、みなさんひっくり返るかもしれない。そこには宇宙空間の色が塗られている。見てのお楽しみとして、ここには色名を書かない。ただし、その色に見えるはずの理由が、本書219頁に簡潔に書かれている。その科学的理由を皆さんが考え始めたら、夜も眠ることができなくなるかもしれないので、本書評では色名をばらさないことにしておく。
また、各章の名称からして、著者が読者の読む気をそそる命名の天才だ。だが、これについても本書を見てからのお楽しみ。ただ、それではあまりに…なので、第4章だけご紹介。「宇宙はどうしてビッグバンで始まったのか―時空の果てに迫る」の、「どうして」が、先ほど紹介した宇宙空間の色同様、著者の科学者たる所以。面白いですよ。これ即ち、これまでの宇宙論書になかった視点である。
暗黒三兄弟、すなわち暗黒時代・暗黒物質・暗黒エネルギーがこれからの宇宙論のメインテーマになるという著者の大予言は、ありがたくお受けしておくことにしよう。