- 講談社
- 17.3×11.5cm、240ページ
- ISBN 978-4065144657
- 価格 1080円
評者は、カルチャーセンターなどに出かける際に電車の中でメモをとるため、書評対象書とボロボロのノートを持っている。本書を読んでいたとき、不思議な思いにとらわれた。その時マルチバースの中には、私と瓜二つの別の私がいるかもしれないと須藤先生が書いた部分を読んでいた。講演終了後、入った立ち食いそば屋で××そばを注文し、食べ始めた途端、どこか別のバースで××そばを食べている別の俺がいるかもと思ったのだ。周囲にいるおじさんおばさんも店員さんも全くソックリかもしれない。ぎょっとしましたよ。なにしろマルチバースは10500個もあるというのだから!
でも、あれこれ考えている内に、もたもたしているとソバが伸びてしまうことに気づき、慌ててツルツル呑み込んだ。物理法則が異なる別のバースでは、もしかすると口からソバを吐き出している人間がいるかもしれない、あるいは神と人間の立場がまるっきり逆の世界があるかもしれない等々、考え出したらきりがないので、現在はそれっきり。
人間や他の知性が存在しない世界(ローンリーワールド)もあるかも、という。もう天国や極楽、地獄を超越していますよ。本書を読めば、そういったことを科学的に考えるのを学べます。そして、数学や物理学を学ぶことの重要さを知ることができます。どこかの国の大統領や首相が、本書を熟読されることを切に願います。