- 講談社
- 240ページ
- 978-4065184639
- 定価 1100円
読者の皆さんは、皆既日食の際、背景に位置する恒星からの光が進路を曲げられ、あたかも太陽を回り込むような形で地球に届くことを良くご存じのことだろう。そして、1919年5月29日ブラジル東部のソブラルという町で、グリニッジ天文台が派遣した日食観測隊撮影の写真からそれが証明され、一般相対性理論が確かめられて歴史的事象となったこともご存じのことだろう。そう、昨年はその100周年だったのだ。
でも、不思議だとは思いませんか。光は物質ではないのに、太陽という強力な重力源に進路を曲げられることを…。波だから、歪んだ空間に沿って伝わるからだという程度に理解されている貴方。それはそれで正しいのだが、評者はそれが不思議でならなかった。アインシュタインさんほどの天才の頭なら理解できると諦めていたのだ。だが、長い間のその疑問に本書は見事に答えてくれ、それが氷解しサッパリしたのだ。すなわち、エネルギーがある場所に存在すると、その周囲で時間と空間のスケールが変化して、光のみならずあらゆる物理現象(エネルギー移動を伴った)において、その進路が曲がるのだ。あぁ、本書こそ救世主!
時間が過去→未来と流れるのは、ビッグバンのせいだとか、未来は決定されていないとか、タイムパラドックスは可能だとか、いやはや、今夜も眠れなくなってしまった。