- 講談社
- 258ページ
- 978-4065192436
- 定価 1210円
こだわり天文書評なのに地磁気かよ! とお叱りになる方もおられそうだが、それは大いに間違っている。本書第5章にあるように、カギが超新星や太陽からの風なのだ。でもその前に、評者大学時代の懐かしい思い出をご紹介したい。学生の1年目、評者は地学部の先輩に連れられて、地質巡検に行った。千葉県市原市養老川沿いの露頭、関東ローム層の下に眠る新生代第三紀の崖だ。よみうりランド近くの崖でも赤土にまみれたことがあるが、いわゆる地層というものをじっくり見つめたのは、これが最初だった。と同時に、月にも地層はあるのだろうな、行ってみて調べてみたいな、と思った瞬間、地質学は天文学に繋がっているのだと信じてしまった。そうだ、両方やろうと決めた。
本書テーマのチバニアンの露頭の一つ。だからこそ、評者は本書を一気に読了した。凄く勉強になった。現在太陽活動が停滞期開始か? と考えられているこの時期に、地層の国際名にチバニアンが認められた。日本人として凄いことではありませんか! ベテルギウスの超新星爆発は空振りに終わるかも、だが、次には現在も低調な太陽活動による小氷河期到来もあるかもしれない、こんな時代に地質学と天文学、面白いですね。チバニアン関係者だけでなく、ぜひ多数の皆さんが、やがて来る地磁気逆転器に関心をお持ちになって、本書を熟読玩味の上、市原市まで足を伸ばしていただきたい。