- 講談社
- 248ページ
- 定価 1100円
学生時代から食変光星に特化した観測を行ってきた評者にとって、待ちに待った本の出版になった。前書「へんな星たち」も愛読させてもらったが、本書はより連星にこだわった本である。著者は兵庫県立大学西はりま天文台で働かれている立派な研究者で、ことによったら研究会などでお会いしたこともあったかもしれないが、ぼけた頭になった評者の記憶からは、残念ながら消え去っている。また、評者の居住地からあまりに遠方なので、この先も多分お会いできないだろうが、食連星・食変光星という奇特なもので繋がれている。
本書にも同グループのアルゴルは、詳細に紹介されている。残念ながら2009年以来晴れたら毎晩欠かさず測光しているアルマーズ(ぎょしゃ座ε)は記されていないが、要するに変光星と言えばミラ型長周期変光星とみられている日本では、まさに奇特な本。と言うか、連星こそがこれからの恒星世界を背負って立つということが書かれているのだ。だって、ブラックホールが発見されたのも、白色矮星や中性子星の主星と伴星の関係からだし、重力波はその衝突から発生する波の観測からだった。また、毎晩夜空に光っている恒星の多数は連星で、太陽という単独星はむしろ希なのだ! ということが、本書を読めばたちどころにご理解いただけるはず。要するに連星天文学は、今や時代の寵児、現代天文学になくてはならないものであることが、本書を読めばヨーク判りますよ。ぜひお勧めです。