- 講談社
- 274ページ
- 定価 1210円
マルチメッセンジャーという新用語の天文学、要するにブラックホールや中性子星、超新星などの研究に欠かせない多波長+電磁波以外の手法を使った分野の本として、解説された本である。日夜進歩する天文学としてワクワクするテーマ。特に晴れたら毎晩、日没後・真夜中・明け方問わずベテルギウスと対峙する評者にとっては、まさに知っておかなければならない内容なのだ。明日か、1000年後か、はたまた10万年後か知らないが、サヨナラしなければならないベテちゃんとは、評者には親友以上のもので、ちょっと赤みが増した、ちょっと暗くなったなどの一挙手一投足が気になって仕方がない。
それはともかく、昔は単に天体物理学と言っていたが、今ではマルチ、面白いですよ。電波観測が普通の天体望遠鏡ではできないなんて言っていられないのだ。本当に、天文学は大規模に、マルチになった。いろいろな計算も詳細に記載されていて、それらがブルーバックスで気軽に気楽に読めるのは、本当にありがたい。また、ベテルギウスが起こす超新星爆発に伴う重力波も、どうやら地球には到達しないことを本書で学ばせてもらい、評者は一安心した。南極大陸に設置されたアイスキューブという観測機で170922Aというニュートリノの通過現象がとらえられ、その解釈が本書後半で説明されている。これなども、凄く面白いですよ。ぜひご購読を!