- 集英社
- 10.8×17.2cm、206ページ
- ISBN 978-4087208078
- 価格 778円
現代最大の研究課題である宇宙背景放射。簡単に説明している本に簡単に出会ってしまった。ただし、それはいい加減ではない。特にインフレーションを震源とする原始重力波については、本書を基にカルチャーセンターでお話ししてしまい、その際本書を高齢の受講生のみなさんにお薦めまでしてしまった。その際、ついでに「異星人にサッカーのルールが判るか」(本書に記事記載)もご案内したところ、ウンウンうなずかれていました。
そればかりでなく、ドッカーン効果とか、宇宙が晴れ上がって辺りが暗くなった話とか、空っぽだが無ではない、アメーバが一瞬で銀河になるほどのインフレーションだとか、実に豊かで楽しい表現力に感心しまくった次第。大道芸者も顔負けだ! 本を書こうとしているみなさん、著者を見習いましょう。本は自己満足でなく他者を喜ばせなければいけない。
とはいえ、本書の大道である宇宙論は、人類究極の理論だから、決して楽しく騒いでそれで終わりではありません。曇った夜中に布団の中で本書を読んでいると、宇宙の謎がまだまだ一杯溢れていることが見えてくる。暗くなったが、まだ真っ暗ではないという宇宙背景放射とは、一体何だ? とか、今追求されるべきBモード偏光ってそれも何? など、寝ていられないと思っている内に、自然と眠ってしまう。そんな幸せな気分に、本書を読んでどうぞあなたもおなりください。いずれ死ぬ前にぜひ。