- 新潮社
- 15×10.6cm、261ページ
- ISBN 978-4101225364
- 価格 562円
著者は誰もが知るあの有名人。意外なのは、この方がディスカバリーチャンネル科学番組の愛好者だということ。評者は本書で初めてそれを知り、見直してしまった。何しろその科学知識の深さは驚嘆すべきだ。生物学〜地球科学〜宇宙エレベーター〜宇宙科学各分野のエキスパートと渡り合って、評者はインタビューワーとして見劣りがしないどころか、恐れ入った次第。テレビでの姿との余りの格差に、読者諸氏も愕然とするに違いない。
宇宙物理学で著名な、著書も多数有るあの村山斉先生は小さい頃天文少年だったが、お父さんから「ウチは金がないから、望遠鏡は買ってやれない」と宣言されたことは、評者も同様だったので、仕方ないから自分で手作りした経験を持つことを、否が応でも身につまされてしまった。その後は研究者と解説員という形で、大きく異なってしまったが…。研究者ごとの10のファイルの各章とも、どれもが激しく勉強になるが、特に評者はファイル4石川洋二先生の「宇宙エレベーター」はもはや夢じゃないに大感動した。今や時代はここまで来たのだというのが、その実感。
これまでにも宇宙エレベーターに関する紹介書は何冊も出版されており、本書評でもご紹介させて貰ったが、1991年に発見されたカーボンナノチューブの能力を具体的に知り、2050年には建設が完了し、運用が開始されるめどが付いていることを確信した。