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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

月のかぐや Kaguya on the Moon

表紙写真

  • 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 編
  • 新潮社
  • A5判、141ページ
  • 2009年11月
  • ISBN 978-4103200215
  • 価格 1430円

本書は、言わずと知れた月探査機「かぐや」が得たデータ写真集。評者は本書を読んで、というより鑑賞して、「科学の解き明かしとはいったい何だろうか」「科学はすべての人々に愛されるものなのだろうか」、でも「科学を学び、大好きになれた最高の生涯だった」と感じてしまった。

評者は先日、長男の結婚式参列でハワイに旅行した。ビーチで波乗りする人や、ダイヤモンドヘッドでデジカメをぱちぱちして日の出を見物する人、ストリートで実弾射撃の誘いに乗る人を横目で見ながら、本書を読むという珍奇な体験をしてしまった。つまり、本書を持って行ったのです!

その対比たるや相当なもの。なにせ片や千変万化、片や不変零化(評者発案)。隕石落下でもなければ変化はない。草木が一本も生えていないし、目に見える水分もないし。一体こんな所(月のこと)に、大切なハネムーンで行くカップルがいるだろうか。

膨大な経費はともかく、無味乾燥、どこを見ても変化がない。だが、余計なものがないから問題の核心に触れやすい。すなわちあからさまに地形が見えて地質がわかる。しかも、その見方がわかればその相違が誰をも問題の核心に引きずり込んでくれる。私だったら本書をガイドブックに月に行きたいですね。そしてデジカメでぱちぱちやって岩石ハンマーで叩いてみたいですね。もちろん双眼鏡を使ってペルセウス座も見たいですね。

写真はもちろんすばらしい。ハイビジョンの威力というか、まるで月にいるみたい。望遠鏡で真上から見るだけの月ではなく、見慣れたクレーターでも横から見ると、まるでエベレストやマッターホルン、富士山や高尾山だ!

ところで、後半のこのプロジェクトに関わった皆さんの寄稿文も最高ですよ!かぐやの科学的成果の価値が詳細に語られている。また、かぐや搭載の観測機器紹介も詳細である。本書を読まずしてかぐやを語るなかれ。1300円が1300万円に思えるはずだ。でもこの資金では月に行けないか。

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